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生活観光というコンセプト – 物見観光からの転換 -

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私は最近、「観光ってなんだろうか?」と良く考える。

 

街を愛する観光産業に関わる方々が
“観光産業を盛り上げる”という話をするときに落ち着くのが

「新しい観光名所をつくって、バスで乗り入れやすいように整備して、帰りに
お土産を買っていってもらうために、新しい名物をつくろう・・・」

という考え方である。

つまり

「いかに効率的にたくさんの人に来てもらってお金を落としてもらうか?」

という話になってしまう。

 

しかし、いつもその話を聞くと違和感を感じてしまう。
自分たちが、観光客だとして、果たしてそんな旅行をしたいのだろうか?

本当に楽しいだろうか・・・?・・・本当に?

 

私たちは、うすうす気づいているのではないだろうか?

人々が観光に求めるものの質が変わってきていることを。
そして、観光に効率さを持ち込みすぎた
今までの物見遊山的観光 = 物見観光 に限界が来ていることを。
それらに変わる観光を別の視点から捉える新しいコンセプトが必要だということを。

 

話を私個人の実体験に戻したい。

私は、学生時代、一ヶ月のドイツへのバックパック旅行をしてきた。
そのとき、自分がもとめていたものは、
ノイシュヴァンシュタイン城を観たいとか、ケルンの大聖堂をみたいなどではなく、
「ドイツ人のようにその土地に溶け込み、暮らしてみたい」だった。
つまり、「ドイツ人になりたい」だった。

さきほど挙げた観光名所も観にいった。
もちろんすばらしいかったが、それよりもその地のカフェでぼーっとしていたり、
自転車を借りて、ロマンチック街道を自分の足でサイクリングしてみたり、
ビールとソーセージ片手にスポーツバーでブンデスリーガをみたり
こういうことのほうが楽しかった。
私が実感したことが、多くの観光客の実感として起こっているのではないか?

 

これからニューヨークへ1週間、旅行すると考えてほしい。

自由の女神や、タイムズスクエアを、観にいきたいのだろうか?
そうではない、

「ニューヨーカー」になりたいはずなのだ。

ニューヨーカーとして1週間だけでも生活したい。
ニューヨークという街のあの空気を感じ、
その中に溶け込みたいという生活体験がしたいのだ。

 

まさにこれからはこの「生活体験」ということが
観光のキーワードになると私は予想する。

そして観光産業に求められるのは、この生活体験を中心にした観光へのシフトだと思う。

 

観光名所を効率的にまわり、お土産を売りつける「物見観光」から、
そこに暮らすという生活体験そのものを
最大の観光資源と位置づける「生活観光」へのシフトである。

 

観光産業はこれから廃れるのか?

私の考えでは、今までの物見観光の考え方では廃れていくだろう。
しかし、新しいコンセプト=「生活観光」という視点を持つことができれば、
むしろ、観光こそが、日本の重大産業になるとすら思っている。

 

冒頭で挙げたような街を愛し、街の観光を真剣に考えている人たちでさえ、
これらの「生活観光」という考え方を持ちあわせていない人々が多い。
それがとても気がかりだったので、ここで紹介させていただいた。

 

umigura ではこれら新しい生活観光を応援したいと思っている。

それは、そこに住む、生活者にとって心地よい街をつくることが、
観光につながっているという考え方だからだ。

 

今回は、「生活観光」というコンセプトを紹介させていただいた。
またこの話の続きはゆっくりしていきたいと思う。

 

※ 生活観光というコンセプトは、浜野安宏氏の著書「生活地へ―幸せのまちづくり」から
多分なインスピレーションをいただいている。
ぜひ街づくり、観光に関わる方には、読んでいただきたい。

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